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     自己治療のヒント
 

このページは「自己治療のヒント」としていますが、生活に支障をきたす程の重症の人やうつ病と考えられる人は早期に専門医を受診されることをおすすめいたします。
 

step1   
自らのストレス反応様式を知ること 

 自分がどんな種類のストレスに弱いか、ストレスに出会った時にどんなストレス反応のパターンに陥るか。どんな思考をとるか。どんな身体症状が出やすいかを知っておく。
 精密機械を扱うとき、その機械はどの角度のどんな衝撃によって壊れやすいか知っておく必要がありますね。人間の心身もまた一種の壊れやすい精密機械です。自分の心身がどんな衝撃に脆いかを知っておかねばなりません。しかしこれは自分自身のことながら案外、灯台下暗しなのです。例えば怒り心頭の表情をしているのに「自分は怒っていない」と答える人がいます。10年近く神経性胃炎に悩まされながらも心理的ストレスを自覚していない人もいます。これらの人達はストレス耐性が低いのだとと言わざるをえません。では、どうすれば自分のストレス反応パターンを認識できるのでしょう。
人はストレスに陥ると、各人固有のパターン化された感情に支配されやすく、いつも同じストレス回避行動をとりやすい。そして固有の身体症状が繰り返し出てくるものです。そのような自分固有のパターンを知ることが大切です。つまり、人生の様々なストレスイベント(転職、転居、別離など)において、生じた身体症状はいかなるものであったか。 また、それらの渦中でどんな感情に支配されたか自問してみます。そして、いつも不安、罪責感、怒り、あるいは特別な感情に自分が支配されていたなら、そのような感情を自分がどのようにコントロールしてきたか? どのようにしてそれらを克服したか。あるいは長期にわたって悩んだか? いつもアルコールに溺れたか?  いつも周囲の人に当たり散らかしていたか? いつも自分を責め後悔することで終わっていたか? と検証していきます。  
この検証によって、自分はどのような衝撃に過敏であり、心身のコントロールをどのようにおこなってきたかわかるかもしれません。そのような自分の反応パターンが把握できれば、その認識自体が強力なストレス対策になるでしょう。いわゆる情報戦の領域であり、自己治療のグランドデザインの入り口です。

 

 


step2  リラックス法の修得

 リラックス法とは、心身をリラックス状態に誘導する技法で、万人が簡単に行える利点があります。心身症の自己治療法のひとつとして、歴史的な積み重ねの経験則を基盤とするものから科学的解明のすすんでいるものまで多くあります。マインドフルネス、アロマセラピー、ミュージックセラピー、芸術療法まで幅広いジャンルが含まれます。ここでは、古くから臨床的に治療効果が検証されている3つを記述しておきます。

利用しやすいリラックス法

腹式呼吸

詳細は下記(追補1)参照。交感神経系の優位状態を、腹式への呼吸誘導によって副交感神経優位状態へと導く手法です。

自律訓練法

詳細は下記(追補2)参照。他者催眠からヒントを得た自己暗示法の一種。一時は心身医療の三大柱の治療法のひとつとして話題になった。「受動的注意集中」が修得の基本的態度であり、実施にあたっては、「 Let it be ! (あるがまま、なるようになれ) 」の感性が大事。

筋弛緩法

詳細は下記(追補1)参照。筋肉を意図的に弛緩させ、それに連動する心理的緊張を解くのがねらい。やはり副交感神経優位に誘導する手法であり、利用する筋肉は症状の種類によって変えられる。

 

 <追補1>
 心が緊張すると下表の左側に示すように喉がつまり、肩の筋肉が緊張し、粗い呼吸をし、動悸がして、手足は震えますね。また、血圧や血糖が上がり胃腸の運動も円滑さをなくします。 逆に心がリラックスすると、下記の表の右側のような変化(副交感神経優位)が生じます。
 ところで下記の表の項目の内、左右への移行を個人が意図的に(自力で)変えられるものは「随意筋の緊張」と「呼吸法」の二つしかありません。この「意図的に変えられる器官」という点に着目された技法が、呼吸法と筋弛緩法なのです。すなわち呼吸や筋緊張を意図的に表の左方から右法へと導くことで、他の心身の項目を引き連れて右側へと変化させる生理学的手法といえます。ひとつの項目を下図の左→右へと変えることで、他の心身の部分もワンセット方式で左→右へと変化する。これにより臨床的に、血圧や血糖の低下、最近は胃壁の血流を増加させることで胃炎の治療にも有効になります。

<追補2>  
 自律訓練法(autogenic training)は、催眠によって得られる深い心身のリラクゼーションを自分ひとりによる自己催眠によって得ようとするものです。これによって日々のストレスで傷つき歪んだ心身の状態を癒やそうとするものです。全国の心療内科系の大学病院などでも積極的に治療に取りこまれています。自律訓練法の具体的方法は、市販の書籍を利用されるのがよいでしょう。

 交感神経系と副交感神経系の作用

自律神経  交感神経優位➡ 副交感神経優位

筋肉      緊張  ➡ 弛緩

呼吸      胸式呼吸➡ 腹式呼吸

脈拍      速い  ➡ 遅い

瞳孔      拡張  ➡ 収縮

唾液分泌    低下  ➡ 増加

発汗      増加  ➡ 低下

手指の血流   低下  ➡ 上昇

膀胱      弛緩  ➡ 緊張

腸管運動    不整  ➡ 円滑

血圧・血糖   上昇  ➡ 低下

心理緊張・   興奮  ➡ 落ち着き・平安


          
step 3 イメージ療法の応用
 心身への気づきを深めるためのイメージトレーニング技法です。

  (1)身体との対話(擬人化対話技法)
 めまい、疼痛、感覚異常、動悸、便通異常、吐き気など、悩んでいる症状をひとつ取りあげ、それと対話を行う。つまり「自分自身」と「症状」の内なる会話です。自分の中で異物として巣くっている「症状」と、それを忌み嫌い排除しようとする「私」との、擬人化された会話。そこからいったい何が生まれてくるでしょうか?
 やり方は、まず「私」が「症状」に問いかけるところから始めます。

 例   
私「おい頭痛よ、いい加減に私の中から出て行けよ
症状「いやだね、ここは居心地がいいからでていかな

      いよ
私「そんなに私を苦しめて楽しいかい?
症状「さあ、そんなこと知ったことでないさ!
私「 ○ + △ × ・・・・・・
症状「 ○ ● ◇ ● ・・・・・・
私「 △ ☆ ★ ※ ・・・・・・
という具合に、会話を続けていきます。
この一人二役の内的会話のなかで、症状があたかも意志を持った人物のように変貌していくでしょう。そして「症状」との会話は、しだいに「現実の人物」との会話であるかのように日常的な生活臭が漂ってくるかも。そのため会話は緊張感を伴ってくる可能性があります。おそらく会話が長く続くほど、症状の内的要因の核心に近づくものに変化していくでしょう。そこからどのような気づきを得るかは、無責任なようですが人それぞれであり、とりあえず始めてみないと分かりません。大切なことは、自己の心身についての「様々な気づき」なのです。

  (2)ユング心理学的イメージの活用
 ユング心理学では、個々人が保持する個性的な無意識とは別に、各人が共通して潜在意識に保有している太古的な「共同無意識」の存在を想定しています。

ここでの方法は、イメージの中で内部に眠る「共同無意識」の片鱗と出会い、意識と無意識の疎通性を回復する手法です。ここでは、共同無意識に存在するとユングが想定したふたつの人物イメージ「偉大なる母 Great mother」と「老賢人 Old wise man」に登場してもらいましょう。
 具体的には次のような手順でイメージを創造します。以下の手順をひと通り読み、それらを大まかに記憶された後で、目を閉じてイメージを具体的に浮かべてください。


まず静かな部屋で目を閉じます。
貴方が考えつく、世界で一番気持ちのいい部屋を空想します。(ヨーロッパのお城の一室、夕陽に染まる海原が見える部屋など)


◆その部屋で、世界で一番座り心地のよいイスに腰掛けている自分を空想します。
◆その部屋のどこかに、地下につながるエレベーターをひとつ設けます。
◆空想の中で、目の前に机をひとつ置きます。机の上にふたつのボタンを設置します。
◆左のボタンを押すと、地下からエレベーターに乗って、貴方にとって最も心休まる女性が貴方に会いに部屋に来ます。(ユングの言う「偉大なる母(Great mother)」のイメージの活用です)。
◆その女性に机の前に来てもらい、症状や悩みについて相談をします。対話の時間や雰囲気は自由に好きなように空想してください。
◆ひと通りの会話が終われば、感謝の言葉を述べ、またエレベーターに乗って地下にゆっくり戻ってもらいます。
◆次に、右のボタンを押すと、再び地下からエレベーターで、年老いた賢明な男性が貴方に会いに部屋を訪れます。(ユングの言う「老賢人(Old wise man)」のイメージの活用です)。イメージ作りが難しければ、自分が最も尊敬する歴史上の人物のイメージでも構いません。
◆その老人に机のまえに来てもらい、症状や悩みについて相談します。ここでも対話時間や雰囲気は自由に空想します。
◆ひと通りの会話・相談が終われば、感謝の言葉を述べ、またエレベーターで地下に戻ってもらいます。
     ・・・・・・・・・・・・・・・

 どうでしたか? 
具体的なイメージは浮かびましたか? 地下からの二人と何か会話ができましたか? 一度でうまくいかなくても、二度三度とやっているうちに、しだいにイメージ作りは上達するようになります。貴方自身がそれほど努力しなくとも二人の人物が円滑に話してくれるようになれば、意識と潜在意識の疎通性が良くなったと思われていいでしょう。多忙な現実生活の中で、このようなイメージ世界への没入は心の宇宙への旅(インナートリップ)であり、しばしのリラクゼーションタイムになるでしょう。何かに気づくもよし、リラックスだけでもよしとしましょう。

        

step 4 対人関係についての3項
 学校や職場での最大のストレスは、やはり対人緊張でしょうね。「人は生きることについて考える前に、生きることに慣れた」と言われます。そのような慣れについて再考し、自分の対人関係のあり方に気づくことはには、社会の中でさらに生きやすい自分を作っていくことにつながります。

(1)すべての人に好かれる事は無理である。
人に嫌われることは、ある人にとっては「見捨てられる不安」であり、ある人にとっては「情けない自己に直面する不安」といえます。これらの不安は誰にでもあるものですが、問題はその不安の強さです。「すべての人に好かれたい」というのは一種の完璧主義ですが、無意識にそういう心境に陥っている人は案外多いようです。特に人間関係に自信のない人にその欲求が強いようです。逆にその欲求が強いからこそ自信をなくしているとも言えるのですが。
例えば10人位の職場やサークルに自分が所属した場合を考えてみましょう。10人すべての人に好感を持たれることは理想でしょう。しかし一般的に10人の人間がいれば、そのうち2人位には嫌われるのが普通なのです。それでも好かれようとするならば、かなりの身を削る努力が必要とされます。もしその努力の結果ほぼ全員に好感を持たれたとして、「過剰適応」という歪みが内面の重荷となって心身にいろいろな症状が出てくる事になります。対人緊張で悩む人には、このような「過剰適応」がストレス要因となっている場合があります。大雑把に言うならば、対人関係に慣れるとは人に嫌われる事にも慣れる(人に嫌われる事に過敏にならない)という事なのです。 そう言えば最近、「嫌われる勇気」という本がベストセラーになって本屋にたくさん積まれていますね。
ついでに記しますと、人に嫌われた場合、対人緊張の強い人は嫌われる原因を自分の内側にばかり見だそうとします。確かに誰の中にも嫌われる何らかの要素は必ずあるでしょう。完璧な人間などいないのですからね。しかし、嫌うという感情は「嫌う側の人」の自由な感情の産物なのです。それゆえ「嫌い感情」の責任は「嫌う側の人」にあるのです。例えば、AさんがBさんを嫌ったとします。その場合、何故嫌うのかという理由は、まずAさんが自分の心の内面の問題として考えねばなりません。なぜなら、BさんがAさんに「嫌いになれ!」と強制しているのではないからです。イワシの味が好きでサバの味が嫌いという場合、イワシやサバにその責任があるというより、各人の嗜好性にこそ責任があるというのと同じ理屈です。対人緊張の強い人は、いつも他人の感情に対して責任をとりすぎてしまいます。

(2)強がりは弱さであり、弱さを表現できる事は強いこと。
 有名な医学部教授が自著で述べておられますが、ある医学会の発表直前にストレス性胃潰瘍で大量吐血されました。その事を振り返って教授は、「いい発表をしたいという「功名心」がストレスの原因だった」と素直に感想を述べられています。有名な教授でさえ、学会直前には体面や強がりを捨てきれず、吐血にまで至られたわけです。まして我々のような凡人が自分の弱さを敢えて人前に曝せるわけがありません。しかし、その教授が後日談であれ、このように内面の脆さ(?)を自分から率直に語られたことは、再び先生の本当の強さの証なのだと誰しも強い共感を覚えたに違いありません。
  自分の弱さや脆さを他人に呈示することに慣れること。その第一歩は、まず自分の弱さを、じっくり自分で眺めるという事でしょう。それはとても難しい心の作業ですが、なるべく客観的に眺められるなら、そのような心の作業は自分の心の強さの土台になりえます。実は、強がることより、弱さを提示することの方が勇気が必要なのですから。
 
(3) 誰かに語ると、喜びは二倍になり、苦しみは半分になる。
  「喜びは誰かに語ると二倍になり、逆に苦しみは誰かに語ると半分に減る」と言われます。
これはカウンセリングの基本原理でしょう。このことは見方を変えると、人には絶えず他者が自分と同じ心境になってくれる事を求める心理があるという事なのです。例えば、怒っている人は周囲の誰かを怒らせる態度をとります。不機嫌な人は相手をも不機嫌にさせようとします。不安な人は周囲の誰かを不安がらせます。もちろんこれらは意識的に行われることも無意識的に作用することもあります。つまり感情というものは意識的あるいは無意識的に周囲に伝染するのです。そして他人への感情の伝染はそのまま心の癒やしにつながります。ただし我が身の感情は誰にでも伝わるものではありません。ある程度心の波長の合った人にしか伝わりません。ですから、いざという時のために心の波長の合う人を日頃から身近に探しておくといいでしょう。感情の上手な発信者は感情の上手な受信者です。他人の心の波長に自らの波長を合わせる練習も必要でしょう。
ところで発達障害(発達症)といわれる人たちには、このような共感能力が生まれつき乏しく苦労されている方がたくさんおられます。専門的な医師やサポーターによる診断と対応が早期から必要と思います。

 

 STEP 5 :寓話や諺から学ぶ知恵
「脳内革命」という本がて以来、プラス思考という言葉が一時流行りましたね。確かにプラス思考が臨機応変に出来るならば、深刻な悩みも一挙に軽くなるでしょう。ところで古来からプラス思考をうまくアレンジした諺が現代まで数多く生き残っています。その代表格である「塞翁が馬」という中国の古い寓話について述べてみましょう。
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  昔、あるところに一頭の馬を飼っている人がいました。ところがある日、その馬が逃げてしまいました。すると人は、そんな悪い事ばかりおこらないよと慰めてくれました。馬主が嘆いていると、なんと逃げた馬は後日、雌馬を連れて2頭になって帰ってきたのでした。馬主は大層喜びましたが、そんないい事ばかり続くわけがないと人は言いました。するとその通りに、彼の息子が馬から転落し重い障害を持つ身になってしまいました。すると人はそんな悪いことばかり続かないよと言いました。やがて戦争が始まり、若者達が戦争にかり出され殆どの若者が戦死してしまいました。ところが馬主の息子は障害があるため徴兵をまぬがれ、命を落とすことはありませんでした。
  つまりこれは、不幸と思う出来事のなかに実は幸せの種が隠されており、幸せの中には不幸の種が隠されているんだよという事を暗示した諺です。不幸な出来事が起きても結末なんてどうなるか分からないから絶望的にならなくていいよということなのです。 このように古来からの寓話や諺、あるいは語り継がれた童話などの中には、人生を絶妙に言い当てたものが数多くあります。これらをヒントにするのもストレス対策になるでしょう。

step 6  認知の修正(プラス思考)

これは、 step6 の続編のようなものです。
  自己問答をプラス思考を引き出すために行います。ところで、ゲジュタルトという言葉があります。また、心理療法のひとつにF・パールズが創始したゲシュタルト療法というものがあります。ゲシュタルトとはごく簡単に言ってしまえば、たとえばある対象(事物、人など)を見る場合、そこに浮き出る「図」をみるか、図の置かれている背景の「地」を見るか、という全体の把握の仕方の様相のようなものです。図と地のどちらか一方ばかりを見るのではなく、図から地へ、そしてまた地から図へと、交互に柔軟に視点を換え、全体像の本質を把握していくという様式と言えます。全体とその各部分の関係性についての話ということになり、「全体は個々の総和以上のものである」という考え方につながっていきます。 
 ストレス的な出来事が生じた場合に、図か地の一方ばかりに視点を奪われてしまうと、柔軟な解決策が浮かばなくなります。このような損な生き方を様々な実践により変革していこうとするのがゲシュタルト療法なのです。ゲシュタルト療法の進行は、「いま、ここ here and now 」での感情や身体感覚が変革する体験を伴う形(目から鱗が落ちるような)で行われます。本来のゲシュタルト療法は集団で行うものですが、ここでは単独でプラス思考を発案するという変法で行ってみましょう。
    では、二つ質問をしてみましょう。

(1)若い時に胃潰瘍のため胃を手術でとってしまった。それ以後、おいしい食事が十分に食べられず、いつも痩せてしまっている。
  さて、この場合のプラス思考の取り方にはどんなものがあるでしょうか。
たとえば、こんなプラス思考もあります。「胃が手術で小さくなったために、食事をたくさん摂れなくなった。その結果、この飽食の時代にあっても小食であるために、肥満にも糖尿病にも高脂血症にも高血圧にもなる確率が減って良かった」という考えはどうでしょう。小食は動物の寿命を延ばすことが実験でも知られています。人間においても小食は、上記のような成人病を予防し、その結果、脳梗塞や狭心症になるリスクが減ることにつながると考えられるのですから。ちなみに米国では肥満から逃れるため、わざわざ健康な胃をとる手術が流行している状況です。

2番目の質問
(2)若いときは元気だったのに、高齢になってから長く走ったり無理をするといつも膝や腰が痛くなり、運動がたくさん出来 ずとても悲しい。
  この場合のプラス思考はどうでしょうか。「膝や腰が痛くてとても悲しい」という図に対して、その背後にある地に目を移せば、どんな対抗思考(プラス思考)が見えてくるでしょうか? ここで、ご自分の頭で5分ほど考えてみてください。なんでも考えが浮かべば、なにか紙片にでもメモをしてみてください。いくつ浮かんでもかまいません。浮かぶ内容が多いほど、地が柔軟に見えており、ゲシュタルトがうまく機能している心の状態ということになります。
 さて、こんな考え方はどうでしょう。高齢になると心臓や脳血管な体の大切な部分も足腰と同様に老化現象をきたしています。もしも心臓や脳血管の老化に反して、足腰だけが頑丈で走り続けたら・・・・・。たぶん心臓はオーバーロードになり破綻するでしょう。高齢者の激しい運動は活性酸素の発生により心臓や脳の老化を促し、心筋梗塞などを起こしやすくなります。そのため体の他の臓器と同じように足腰も順調に老化していく方が寿命にプラスになる、というものです。
 みなさんは、他のプラス思考が浮かびましたか? ひとつも浮かばなくても悲観する必要はありません。プラス思考は何度も練習しているとうまくなります。水泳やバレエの練習と同じようにです。
       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 いかがですか。プラス思考はストレス的な出来事の意味を変質させ、自分で自分を癒す思考の基盤となります。どうしようもない変えられない現実(過去など)に対して、人は思考の視点を様々に変えることで対処することが可能です。人はいつだって物事の意味をもう一度問い直す機会が与えられるているのです。
  話は少しそれますが、第二次世界大戦中あの悪名高いアウシュビッツ収容所の壁の中で、「夜と霧」の著者フランクルは実存療法(ロゴセラピー)を産みだしました。それはどうしても変えられない厳しい現実の中でこそ、人は価値観や考え方を変えることで心はいつも自由に羽ばたくことができ、何物にも人間の尊厳は奪われないというものでした。これこそプラス思考の最終到達点といえるでしょう。

 step 7 森林浴など自然の癒し

                        毎日ほとんどの人たちは、職場でも家庭でも壁や机や機械などの人工の産物に囲まれて生活しています。これら人工物の特徴は自然にあるものと異なり、規則性・等間隔のリズムに制された規格品です。しかし人間のもつ生体リズムには、自然界の諸現象に符合して、1/f という揺らぎが基本にあります。1/f  揺らぎとは、吹く風の息、揺れる木々の動き、虫の羽音、川のせせらぎなどにみられる微妙な不規則性です。そして、そのような揺らぎは心臓の鼓動や呼吸・血圧の不規則な変動などに認められているのです。
 H16年 1/f 揺らぎがしっかり存在する心臓ほど心臓疾患の発生が抑制された、という調査結果が著名な日本の心臓専門医によって報告され反響を呼びました。森林浴など自然のなかに身を置くと、この1/f 揺らぎに生体が共鳴し、「心身」と「自然」がうまく調和しやすくなると言われます。調和は心身の安らぎをうみ、リラクゼーション効果がえられやすくなります。また、森林の緑は疲れた目に優しいことも知られています。さらに、さまざまな植物の発する「フィトンチッド」は、心身の癒し効果を有し、自然治癒力の向上につながると言われます。
日々の生活に疲れたおり自然の懐に身をゆだねることは、癒しの原点と考えられるのではないでしょうか。


step 8 「トイレ体操」のすすめ
 体質改善の基本的な手段に運動があげられます。ドイツの諺に「トラックいっぱいの新薬より一台の自転車」というのがあります。運動は血糖やコレステロールを下げ、新陳代謝を高め、心肺機能を鍛えてくれます。自律神経の調整や自然治癒能力の向上にもプラスになります。 しかしわかっていても、なかなか運動になじめない人は少なくありません。まとまった時間を運動に使うというのが億劫なのです。そこで、グウタラ運動と名づけてもいいような、運動嫌いな人向けの方法があります。それについて述べましょう。
人は毎日、必ずトイレに用を足しに行きます。排尿・排便あわせて普通は1日に6~7回でしょう。その時を運動に利用するという方法です。 名づけて『 トイレ体操 』です。
 トイレの個室に入って用をたす前後に行います。便器の横で膝を曲げて座ったり立ったりの運動(スクワット)を毎回4回位繰り返します。これは足腰の筋力アップです。体力のない人ならば、最初は1回から始めても構いません。大切なことは、トイレに入った時に必ずそれを行うという継続性です。たとえば1日にトイレに6回入ったとして、計24回のスクワット運動になり、 60kgの人なら40kgの荷物を24回50cm位上下に持ち上げたと同じカロリー消費と筋力アップになります。これは計算上、5kgの重さの鉄アレーを肩の位置から頭上まで、なんと200回も腕で持ち上げるのと同じ運動量に匹敵するのです。
 これは、まとまったスポーツタイムを取れない人が身近にできる運動方法なのです。トイレの中では、誰に気兼ねすることもなく、職場でも家の中でも行えます。1分あれば出来る方法ですからね。ただし、膝の痛い人や血圧の変動の激し過ぎる人には向かないことがありますから注意してください。「学問に王道なし」と言われますね。「運動にも王道なし」ですよ。ぜひ今日トイレに入ったときから気軽に(密かに?)実践してください。

  以上、読んでくださりありがとうございました。
 病を考える参考にしてもらえれば幸いです。

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